居飛車党がいいのか、振り飛車党がいいのか。将棋愛好家であれば一度は悩む問題です。
私は居飛車党なので、普段は居飛車をメインに指しているのですが、居飛車には大きなメリットが3つあることが分かってきました。
今回は、将棋倶楽部24初段の私が、居飛車党をおすすめする3つの理由を紹介していきます。
居飛車党は覚えることが多いが、それでもおすすめする
将棋初心者の人は、最初は振り飛車から覚えるようにと指導されることが多いです。
振り飛車のメリットは形が覚えやすいことです。とりあえず飛車をどこかに振って美濃囲いに組んでおけば、それなりの形になります。相手がどんな戦法を使ってこようが、自分で飛車さえ振ってしまえば振り飛車で戦うことができます。
居飛車であれば、そういう訳にはいきません。居飛車は大きく分けると、矢倉、角換わり、横歩取り、相掛かりの4つの戦法があります。
居飛車党であれば、最低でもこの内2つは覚えておかないと戦えません。というのも、居飛車は相手の形に合わせて柔軟に対応することが求められるからです。
例えば、俺は角換わりがやりたいと思っていても、角交換を拒否されたらどうやっても角換わりの将棋にはなりません。そういう場合は、矢倉とか相掛かりとか他の戦法で行かざるを得ないのです。
居飛車は振り飛車に比べて覚える量が多いので、アマチュアでは居飛車を敬遠して振り飛車党になる人が多いです。確かに居飛車党は勉強量が多くなるというデメリットがあります。
しかし、それでも私は居飛車党をおすすめします。居飛車には振り飛車にはない大きなメリットがあるからです。
居飛車穴熊を避けられる
居飛車党のメリットは、居飛車穴熊を避けられることです。
振り飛車の天敵は、居飛車穴熊です。居飛車穴熊は、玉の固さ、玉の遠さともにピカイチで、数ある将棋の囲いの中でも最強の囲いと言われています。
居飛車穴熊は防御力が圧倒的に高いため、居飛車側にすんなり居飛車穴熊に組まれてしまうと、振り飛車側はそれだけで作戦負けになってしまいます。居飛車穴熊は恐ろしい戦法なのです。
振り飛車は、居飛車穴熊との戦いの歴史です。振り飛車党は、藤井システムや角交換振り飛車を編み出し、居飛車穴熊に組ませてなるものかと四苦八苦してきたわけです。
振り飛車党にとって穴熊対策は悩みの種ですが、居飛車党になればそんな悩みからは解放されます。
居飛車党であれば、相手に穴熊に組まれる確率はかなり減ります。相手が振り飛車穴熊できた時くらいでしょう。振り飛車穴熊だと、居飛車側も居飛車穴熊に組んでいる場合が多いので、お互い様です。
私は穴熊がどうも好きになれません。矢倉囲いや美濃囲いは非常に美しい囲いですが、穴熊はそれに比べて不格好です。将棋盤の端っこに引きこもっているだけですからね。
実際の対局だと、穴熊戦は手数が長くなるので疲れます。穴熊って自陣に金銀を打ち付けていたらすぐにリフォームされるじゃないですか。全く勘弁してくれって話です。
相振り飛車を避けられる
居飛車党のメリットは、相振り飛車を避けられることです。
アマチュアは振り飛車党が多いので、アマチュアの対局では相振り飛車が頻繁に登場します。振り飛車党同士が対局するとどうしても相振り飛車になってしまいます。飛車を振り続ける限り、相振り飛車からは逃れられない運命なのです。
私は、相振り飛車が嫌いです。お互い飛車を振るとか意味が分かりませんよね。両方振ったら相居飛車と変わらんやんと思ってしまうわけですよ。
振り飛車党の人でも、相振り飛車になった瞬間に心の中でため息をついている人はかなりの数いるはずです。相振り飛車は縦の将棋になるので、感覚的には相居飛車に近いですからね。
振り飛車党の人でも、相振り飛車は嫌いなので、相手が振り飛車できたら居飛車で行くという人もいます。居飛車党になればいちいち悩まなくてよくなりますよ。居飛車党であれば、相手が振り飛車をしてきても対抗型になるだけなので、何の問題もありません。
プロの対局を楽しめる
居飛車党になるとプロの対局を楽しむことができるようになります。実は居飛車党をおすすめする最大の理由は、この理由です。
プロ棋士は、居飛車党の割合が圧倒的に高いです。順位戦B級1組以上で純粋な振り飛車党と言えるのは、久保王将と菅井七段くらいです。あとの棋士はたまに振り飛車を指すことはあっても基本的には居飛車党です。
トップ棋士はほとんど居飛車党なのです。将棋界で有名な羽生さんも藤井君もひふみんも全員居飛車党です。
そのためプロの対局では、相居飛車の将棋が圧倒的に多くなっています。最近のタイトル戦は、角換わりばかりです。
角換わり好きの私は歓喜していますが、振り飛車党の人にとっては正直つまらないでしょう。
アマチュアの振り飛車党が愛用している、ノーマル四間飛車や石田流三間飛車なんて、プロの公式戦ではほとんど出てきません。
近年は将棋の中継をみることができる機会が増えました。ニコ生やAbemaTVでは、毎日のようにプロの公式戦を放送しています。
自分が普段使っている戦法と同じ対局をみられるとテンションが上がりますよ。勉強にもなりますしね。
観る将の人には、断然居飛車党になることをおすすめします。