日本学生支援機構の第一種奨学金には、奨学金の返還免除制度があります。
大学院で優秀な成績をおさめた場合、全額免除もしくは半額免除の特典が与えられます。
第一種奨学金の返還免除制度は、正直めちゃくちゃお得な制度です。使わない手はありません。
返還免除の枠は、意外と多く設定されているので、大学院でしっかり勉強をすれば、返還免除を受けられる可能性は高いです。
実際、私も第一種奨学金の半額免除を受けています。
どれくらいの成績があれば返還免除になるのか気になりますよね?
これから、第一種奨学金で返還免除を受ける方法について書いていきます。
今回は思い切って、私の大学院時代の成績も公開しちゃいます。
目次
日本学生支援機構(第一種奨学金)
第一種奨学金とは
第一種奨学金とは、日本学生支援機構の無利息型の奨学金になります。
日本学生支援機構の奨学金には、利息の付かない第一種奨学金と、利息の付く第二種奨学金の2種類があります。
第一種と第二種の最も大きな違いは、利息があるかないかです。利息がかからない分、第一種奨学金の方が有利です。
第一種と第二種では、借りられるお金の金額も変わってきます。第二種の方が、選択肢は広いです。
他にも違いはありますが、今回私がお話したいのは、第一種奨学金だけにある特典です。
この第一種奨学金にはとんでもない特典が付与されています。
特に優れた業績による返還免除です。
特に優れた業績による返還免除
第一種奨学金には、大学院在学中に優秀な業績をあげた人に、返済を免除するという太っ腹な特典が付与されています。
大学院で第一種奨学金を借りた人の中で、最大30%の人が、奨学金の全額免除か半額免除を受けられるようになっています。
なんと、約3割の人が無償で奨学金を借りられるのです。
大学院での研究分野に制限はありません。
学問分野での顕著な成果や発明・発見のほか、専攻分野に関する文化・芸術・スポーツにおけるめざましい活躍でも、返還免除の対象になります。
返還免除の制度は、大学院での活動をがんばるためのインセンティブ目的の意味合いが強いです。
詳細は、日本学生支援機構「特に優れた業績による返還免除」をご参照ください。
返還免除は学内での競争
第一種奨学金の返還免除枠は、第一種奨学金を借りている人数に応じて、大学院ごとに均等に割り振られています。
各大学院で「第一種奨学金を借りている人の中で上位3割」に入れば、返還免除を受けられることになります。
つまり大学院内での競争ということです。
東大や京大の優秀な人たちしか返還免除を受けられないという訳ではありません。どの大学院の人でもチャンスがあります。
奨学金免除は、まず学内で選考して候補者を決め、その候補者の中から日本学生支援機構が最終的に対象者を決めるという流れになります。
しかし実際は、学内の選考で候補者に選ばれれば、日本学生支援機構の審査で落とされることはまずありません。
なので、学内で候補者に選ばれるかどうかに全てがかかっています。
通常、同じ大学院であっても研究科ごとに枠が割り振られることになります。
ライバルになるのは、同じ研究科で勉強している人たちです。
それでは、返還免除を受けるためには、どれくらいの業績が必要になるのでしょうか?
半額免除に必要なGPAと業績
奨学金の返還免除は利用しない手はないのですが、世の中にあまり情報が出回っていません。
「特に優れた業績」とはいったい何を意味するのかもはっきりしません。
実は私は、大学院在学中の実績により、第一種奨学金の半額免除を受けています。
私が在籍していたのは、早稲田大学大学院会計研究科というところです。
文系の大学院で、会計専門職大学院というジャンルになります。アカウンティングスクールとも呼ばれています。
大学の学部でいうと商学部になります。
どのような成績で半額免除になったのか分かれば、「特に優れた業績」について少しは感覚がつかめるのではないかと思います。
今回思い切って、私の大学院時代の成績を公開してみます。
私の大学院での実績は次のものです。
- GPA(成績)が上位20%
- 在学中に税理士試験2科目合格
- 専門職大学院では必修ではない修士論文を作成
私の実績はどれほどのものだったのか、自己分析していきたいと思います。
GPA(成績)が上位20%
私が在籍していた早稲田大学大学院会計研究科は1学年約100名ですが、約半数が公認会計士試験に合格しています。
公認会計士を目指していない人も在籍していたため、公認会計士を目指していた人の合格率は相当高いです。
公認会計士を目指すためには、大原やTACなどの資格学校に通って勉強することになりますが、在学生の全体的なレベルは、大原やTACで公認会計士や税理士を目指している人たちよりも高いです。
私の大学院時代の成績は下記になります。(クリックすると拡大します。)
GPAは3.02となっています。
GPAの平均は、一般的に2.0~2.7くらいになります。おそらく私の成績(GPA 3.02)は、上位20%以内に入っていたものと思われます。
落とした単位は一つもないし、C以下を取ったこともありません。割と良い成績だったと思います。
早稲田大学大学院会計研究科の成績の評価方法は、相対評価でした。
上位約 10%までは「A+」、上位約 10%~約 30%までは 「A」、上位約 30%~約 80%までは「B」というように、厳格に成績が判定されます。
恣意性が介入しないように厳格に成績をつけている印象を受けました。
成績評価概要
成績 | 内容 | GPA |
A+ | 上位10%まで | 4 |
A | 上位10%~30% | 3 |
B | 上位30%~80% | 2 |
C | 上位80%~ | 1 |
F | 不合格 | 0 |
G | 出席不足で不合格 | 0 |
会計研究科では、GPAが最終的な成績評価になります。
GPAとは「Grade Point Average」の略で、特殊な方式で算出された成績評価方法になります。計算式は下記になります。
GPAの計算方法
〔(A+修得単位数×4)+(A修得単位数×3)+(B修得単位数×2)+(C修得単位数×1)+(F・G科目単位数×0)〕 ÷ 総登録単位数(不合格科目を含みます。)
※GPAは、少数第2位まで表示します。少数第3位は四捨五入します。
成績が上位20%というのは、特に優れた業績に値すると思います。
とはいえ、私がとびきり優秀な生徒だったかというとそういうわけではありません。
公認会計士を目指している人は、会計士試験対策に全エネルギーを集中させているため、大学院の成績に無頓着な人が一定割合います。
そのため、授業に休まずに出席してテスト対策をすれば、それなりの成績が取れます。
なかにはめちゃめちゃ優秀な人がいるためトップクラスの成績を取るのは至難の業ですが、上位20%程度であれば努力すればなんとかなります。
在学中に税理士試験2科目合格
私は税理士を目指していたため、大学院在学中に税理士試験を受けていました。
在学中に、税理士試験に2科目合格することができました。大学院は2年間なので、1年で1科目ペースです。
大学院時代はバイトはしていなかったので、受験専念に近いような状況で勉強していました。
1年で1科目は悪くはないですが、受験専念であればもっと合格できていてもいいかなという気はします。
私は大学院在学中に、税理士試験3科目合格するつもりでした。
奨学金の免除の観点からすると2科目合格ではやや弱いです。3科目合格であれば特に優れた業績に値するのではないかと思います。
会計専門職大学院であれば、公認会計士試験に合格する人たちと免除枠を争うことになります。
在学中に公認会計士試験に合格すれば、間違いなく特に優れた業績に値します。
公認会計士試験合格者と対抗するには、税理士試験3科目合格は欲しいところです。
専門職大学院では必修ではない修士論文を作成
専門職大学院は、一般的な大学院修士課程のコースとは異なり、修士論文の作成が卒業要件になっていません。そのため、専門職大学院で論文を書く人の割合は10%~20%程度です。
修士論文の作成には労力を要します。必修ではない論文を作成した場合は、実績として一定の評価をしてもらえます。論文を書くだけで他の人と差別化を図ることができます。
修士論文を作成するのが一番簡単に実績を作る方法です。専門職大学院生が奨学金免除を狙うのであれば、修士論文を作成することをおすすめします。
修士論文の作成がどんな感じなのかは、大学院時代の体験談「税理士試験で税法免除を選ぶ理由。会社員を辞めて大学院に進学した体験談」を参考にしてみてください。
返還免除に必要な業績について考察
大学院ごとに成績評価の基準は変わってくると思いますが、これくらいの成績だと半額免除を受けられるんだなという一つの目安にはなると思います。
大学院の成績がどこまで重視されるのか詳しいことは分かりませんが、GPAが3.0あれば、半額免除であれば十分狙える水準だと思います。
GPAを上げるコツとしては、単位を落とさないことです。GPAの計算式を見れば分かりますが、不合格科目も分母に入ります。
あとは地道に休まず授業に出席して、テスト対策をすることですね。ちゃんとテスト勉強すれば、意外に良い成績が取れます。
「特に優れた業績」は大学院の成績以外の要素も考慮されるので、大学院の成績はあくまで評価基準の一つにすぎません。
プラスアルファの業績で、どこまでインパクトを残せるかは、かなり重要だと思います。
返還免除の対象者を選考する場合、大学院の成績以外で何か実績がある人の方が候補に上げやすいように思います。
私の場合であれば、税理士試験で2科目合格したのと修士論文を作成したのは、かなり大きかったはずです。
もしこの2つの実績がなく、純粋に大学院の成績だけだったとしたら、候補者に選ばれていたかは怪しいです。
大学院の成績、税理士試験科目合格、修士論文の3つの合わせ技で、なんとか候補者に滑り込めたと考えています。
大学院在学中は勉強に専念
大学院在学中はとにかく勉強に専念しましょう。
中途半端にバイトをして自分のエネルギーを分散させるくらいなら、勉強に全エネルギーを集中させた方が、奨学金の免除を受けられる可能性が高くなります。
バイトをするために大学院へ進学するわけではないですよね。
勉強してお金をもらえるのが一番いいです。
勉強をがんばれば奨学金の免除が受けられるとなれば、勉強のモチベーションが上がりませんか?
大学院への進学を考えているが、お金の面で躊躇されている方は多数いらっしゃると思います。
勉強する意欲があるのにお金の面で断念するのはとても残念なことです。
そんな人たちのために世の中には奨学金という仕組みが用意されています。
奨学金をうまく活用していきましょう!