「3年で税理士試験に受かる方法」といったキーワードで当ブログに訪問してくれる方がちょくちょくいます。
税理士試験にいかに早く合格するかは受験生の永遠のテーマです。
今回は「簿記3級レベルから税理士試験に3年で合格する方法」について、自分がもう一度税理士試験を受験するならどういう戦略をとるのかという視点で考えていきます。
目次
税理士試験は3年で合格できるのか
税理士試験に詳しくない人であれば、3年もかかるの?と思われるかもしれませんが、3年で合格できれば超短期合格です。
税理士試験合格者の平均勉強期間は7~8年と言われています。
私は3年で合格することは不可能ではないと考えていますが、全ての人が3年で合格できるとはとてもじゃないですが言い切れません。
「税理士試験に3年で合格」というのは、「偏差値40から1年で早稲田に合格」というのとほとんど同じです。
合格する人もなかにはいるけど、普通はムリだよねといったところです。
やみくもに勉強してもダメです。合格するためには緻密な戦略が必要になります。
人生は有限です。残された時間が3年しかないという人もいるでしょう。
これから「3年で税理士試験に受かる方法」について真剣に考えてみたいと思います。
税理士試験の特徴
具体的に受験戦略を考えていく前に、まずは税理士試験の特徴について確認したいと思います。
税理士試験は科目合格制の試験で、5科目合格すれば最終合格することができます。
5科目の内訳は、会計科目が2科目、税法科目が3科目です。
税理士試験は競争試験です。各科目の合格率は概ね10%~15%となっています。受験生の中で上位10%に入れば合格できます。
税理士試験の特徴
・5科目合格が必要
・各科目の合格率は10%~15%
税理士試験の受験戦略を考える上で、非常に重要な情報になります。
運要素を排除することが短期合格のカギ
短期合格するためには運要素をできる限り排除することが不可欠です。
税理士試験は一発勝負です。1年に1回しかありません。
運が悪かったから落ちたではシャレになりません。
3年という限られた時間で合格するためには、より確度の高い方法を選択しなくてはいけません。
私が3年で税理士試験に合格というミッションを課されたとしたら、次の2つの手段を選択します。
- 大学院の試験免除制度を利用
- 法人税法を選択(ミニ税法は避ける)
なぜこの2つなのか詳しく説明していきます。
大学院の試験免除制度を利用
税理士試験は5科目合格が必要ですが、大学院で税法の論文を書くと2科目免除できるという制度があります。
短期合格を目指す上では、非常に強力な制度です。
なぜなら、規定の論文さえ書き上げれば、ほぼ間違いなく2科目免除になるからです。
試験ではどれだけ実力がある人でも、合格する保証はどこにもありません。
どれだけ勉強しても合格率を100%にすることはできません。
しかし、論文であれば自分の努力次第で100%になります。将来設計が非常にしやすいです。
受験科目が3科目でいいのと5科目必要なのでは、天と地の差があります。
ただでさえプレッシャーのかかる税理士試験で、5科目合格が必要なのは精神的にかなりきついです。
大学院の試験免除を利用すれば、精神的な負担を軽減する効果も期待できます。
関連記事>>>税理士試験で税法免除を選ぶ理由。会社員を辞めて大学院に進学した体験談
法人税法を選択(ミニ税法は避ける)
短期合格するためには、税法科目で何を選択するのかは非常に重要な問題です。
最終的に税理士になれるかどうかは、税法科目に合格できるかにかかっています。
科目の選択を誤ると、受験が長引くことになりかねません。
私は短期合格を目指すのであれば「法人税法」を選択するのがベストだと考えています。
順を追って説明していきたいと思います。
会計科目と税法科目は、見かけ上の合格率は同じくらいであっても、合格難易度は雲泥の差があります。税法科目の方が数倍難しいです。
税法科目が難しいのは、受験生のレベルが税法科目の方が高いからです。
税理士試験は一般的に会計科目から受験していきます。
会計科目に合格した人が次のステップとして、税法科目に進んでいきます。
会計科目であれば記念受験的な人もいますが、税法科目はガチな人が多いです。
会計科目に合格した上位10%の人たちが、税法科目合格という椅子を奪い合います。
税法科目は全部で9科目あります。その中から受験生が好きな科目を選んで受験することができます。
今回の戦略では、大学院の税法免除を使うことになるので、9科目の中から1科目合格すればよいことになります。
科目はなんでもいいのですが、短期合格するためにはミニ税法は避けた方がよいです。
ミニ税法はどうしても運要素が高くなってしまうからです。
法人税法は勉強ボリュームが多い
上の図は、資格の大原のHPで公表されているものです。
今回注目してほしいのは、「学習時間の目安」という項目です。
税法科目と言っても、科目によって勉強時間に大きな差があります。
法人税法と所得税法が、一番勉強時間が長く600時間となっています。
600時間で合格できるのかという問題は、今回は置いておきますが(まず無理ですね)。
勉強時間が長いというのは、勉強するボリュームが多いということです。
短期合格するためには、勉強ボリュームが多いのは一見不利なような気がしますが、あえて時間のかかる科目を選んだ方が良いです。
勉強ボリュームが多いと、全ての範囲を完璧にして試験に臨むのが難しくなります。
そのため勉強ボリュームの多い科目は、勉強時間と成績が比例しやすいです。
努力が結果に結びつきやすいです。
ミニ税法であれば勉強時間が短い分、合格レベルに達するのは比較的簡単です。
しかし、それは受験生全てに言えることです。
試験本番では、完璧な状態で試験に臨んでくる受験生が沢山います。自ずと合格するためのハードルが上がります。
ミニ税法では、ひとつのケアレスミスで不合格ということも珍しくありません。
非常にリスキーな試験です。
法人税法であれば、一つのケアレスミスでアウトということはありません。
法人税法は受験者数が多い
上の図は、科目ごとの受験者数の表になります。
図を見ていただくとわかりますが、受験者数は科目ごとに結構違います。
先ほどボリュームの多い科目を選んだ方が良いと言いましたが、法人税法と所得税法では受験者数にかなりの差があります。法人税法の方が倍以上多いです。
受験者数が多い方が合格はしやすいです。
受験者数が多いと受験者の質にばらつきが出てくるため、実力が反映されやすいです。
なので、法人税法と所得税法では、法人税法の方が合格しやすいと考えています。
税法科目では、消費税法が一番受験者数は多いです。
法人税法と消費税法のどちらを選ぶかは難しいところですが、法人税法の方が実力通りの結果になりやすいと考えています。
消費税法のボリュームは、法人税法と比べるとかなり少ないです。
なので、合格水準に達している受験生の割合は消費税法の方が多いように感じます。
法人税法の方が、勉強量が裏切らない試験だと思います。
法人税法は税法初学者が多い
法人税法は、簿記論と財務諸表論に合格した人が選ぶことの多い科目です。
選択必修科目であることや、実務で役に立つと考える人が多いことが理由だと考えられます。
法人税法や消費税法は税法初学者が受験するケースが多い科目ですが、やはり税法初学者が多いと合格しやすい印象があります。
逆に事業税や住民税のようなミニ税法は、法人税法や所得税法に合格した猛者が受験してくるので、受験生のレベルが非常に高いです。
税法初学者が、事業税や住民税に合格するのはかなり厳しいでしょう。
法人税を選ぶ理由
- 勉強ボリュームが多い
- 受験者数が多い
- 税法初学者が多い
結論:ミニ税法と違い満点勝負になりにくく、実力が反映されやすい
関連記事>>>税理士試験。税法の選択科目はどうやって選ぶ?
簿記3級レベルから税理士試験に3年で合格する方法
1年目の戦略
簿記論・財務諸表論の勉強開始。大学院への進学準備
まずは会計科目の勉強を優先させます。
簿記の知識がないと法人税法を勉強しても理解できないので、まずは簿記からです。
日商簿記3級レベルがあれば、いきなり資格学校の税理士講座を受講して大丈夫です。
なお、3年で合格するためには資格学校に通うことは必須です。
独学での勉強は、3年で合格することはおろか、税理士試験に合格すること自体非常に難易度が高いです。
関連記事>>>税理士試験に本気で合格したければ独学はおすすめしない
日商簿記2級を持っていなくても心配はいりません。
日商簿記2級は、試験範囲に工業簿記が含まれています。工業簿記は税理士試験では出てこないので、税理士試験に合格する上で日商簿記2級の知識は不要です。
3年で合格するためには無駄な勉強をしている暇はありません。
簿記論や財務諸表論の勉強をしていれば、自然と日商簿記2級以上の実力になっていくので、税理士試験対策に集中した方が効率的です。
短期合格を目指すためには、簿記論と財務諸表論は同時に勉強することが必須です。
科目はわかれていますが、内容は被っているところが多いです。
別々に勉強するよりも、同時に勉強した方がトータルの勉強時間を短くすることができます。
簿記はスポーツのようなものなので、勉強しなくなるとすぐに感覚が鈍くなります。
忘れて思い出してという作業を繰り返すのは非効率なので、まとめて合格を目指します。
また、簿記論・財務諸表論の勉強と同時に、大学院への進学準備を行います。
大学院の修士課程は2年なので、受験2年目と3年目は大学院の授業と並行して受験勉強を進めていくことになります。
大学院選びは非常に重要です。
税理士試験の税法免除が使える大学院に進学しないと意味がないので、事前の情報収集は極めて重要です。
ネット上の情報が正しいとは限らないので、実際に自分の足で最新の情報を確認するようにしましょう。
2年目の戦略
簿記論・財務諸表論合格。大学院に進学
2年目からは大学院の勉強も始まります。
最初は単位を取りつつ、論文のテーマを考えていくことになります。
夏の税理士試験までは、大学院の授業は最低限こなすという感じで良いと思います。
簿記論・財務諸表論に科目合格しないことには始まらないので、まずは税理士試験優先です。
年内には論文のテーマを決めておきたいところです。論文のテーマは法人税法に関するものを選んでおくと、法人税法の受験の際に多少役に立つかもしれません。
税理士試験の勉強は、資格学校の教材以外に手を出す必要はありません。むしろ手を出してはいけません。
資格学校の教材をやり込んで、学校内で上位30%に入れば合格できます。
良質な問題を繰り返し解くことが、一番効率的な勉強法です。
関連記事>>>税理士試験に最短合格するための勉強法と資格を目指す上での心構え
3年目の戦略
法人税法の合格。税法論文の執筆
税理士試験までは、法人税法の勉強が最優先です。
法人税法が税理士試験のラスボスです。全力で叩きのめしましょう。
税法に合格できるかは理論暗記にかかっています。理論暗記はこつこつ覚えていくしかありません。根性が問われます。
関連記事>>>【税理士試験】税法の理論暗記の方法・回し方のコツ
夏の税理士試験が終わったら、税法論文の執筆に本格的に取り組みます。
今まで税理士試験を優先させていたため、論文の進捗は遅れているはずです。
遅れを取り戻すために本気で論文を書いていきましょう。
税理士試験後すぐにスタートすれば、何とか間に合うはずです。
大学院に進学しても論文が書けずに挫折してしまう人もいるので、気を引き締めていきましょう。
以上が私の考える「簿記3級レベルから税理士試験に3年で合格する方法」になります。
3年で合格するためには仕事を辞めて受験専念するか、プライベートを捨てて修行僧になるかくらいの覚悟が必要になります。
最後は精神力です。なにがあっても3年で合格してやるという強い気持ちがあれば、3年で合格することも決してムリではないと思います。