【税理士試験のコツ】財務諸表論に効率良く合格する方法

【税理士試験のコツ】財務諸表論に効率良く合格する方法

税理士試験の財務諸表論は、攻略法をマスターすると驚くほど簡単に合格することができます。

財務諸表論は必修科目のため、税理士になるためには避けて通れない科目ですが、実は税理士試験の中で一番対策がしやすい科目です。

それでは「財務諸表論に効率良く合格する方法」を確認していきましょう。

財務諸表論概要

財務諸表論

財務諸表論は、試験時間が2時間になります。

出題形式は大問が3題出題され、第1問が25点、第2問が25点の理論問題で、論述解答が要求されます。第3問は50点の計算問題です。

計算と理論がそれぞれ50点ずつとなっています。

財務諸表論は、簿記論と同時に受験するケースが多いですが、簿記論との違いは理論問題が出題されるところです。

簿記論は計算問題が100%なので大きな違いです。

税理士試験は全部で11科目ありますが、ぶっちゃけ財務諸表論が一番合格しやすいです。

なぜなら、一番対策がしやすい科目だからです。しかも、合格率も税理士試験の中で、高い部類になります。

それでは、具体的に財務諸表論の攻略法を見ていきましょう。

財務諸表論の攻略法

財務諸表論は計算重視

財務諸表論は、計算と理論が半分ずつ出題されますが、試験対策上は計算に力を入れた方が、効率が良いです。

なぜなら計算問題の方が、圧倒的に点数が取りやすいからです。

財務諸表論の計算問題は、簿記論に比べて難易度が低いです。しかも出題パターンが決まっています。そのため、非常に対策が立てやすいです。

計算での目標は、ずばり40点以上です。計算問題で40点取れれば、理論は半分取るだけで十分合格できます。

 

試験本番は、計算問題から解き始めます。時間も計算問題に多く割り当てます

理論問題は、計算問題を解き切った後の残り時間でちゃちゃっと片づけます。

時間配分は、120分中80分くらいは計算に当てても良いかもしれません。それくらい時間をかけてでも計算問題で点数を稼ぐことが必要です。

 

計算問題から解くのには理由があります。時間がなくなって計算問題を最後まで解けなかった、ということにならないようにするためです。

計算は時間をかければかけた分だけ点数を積み上げることができます。

理論から解き始めると、理論に時間を使い過ぎてしまう可能性が出てきます。時間がなくなって計算問題で点数を稼げなくなったら非常にもったいないです。

 

財務諸表論のカギは計算です。計算でいかに点数を稼ぐかを考えて問題を解いていかないといけません。

理論問題は、その場で考えてもどうにもならないという特徴があります。理論問題は知っているかどうかが全てです。時間をかけて解けば点数が上がるわけではありません。

個人的には、財務諸表論という科目なのだから、もっと理論が重視される試験内容に変えた方がいいんじゃないかと思うのですが。まあ、そんなことを言っていても始まりませんね。

受験生の皆様におかれましては、粛々と計算対策をすることをおすすめします。

理論は、計算問題に比べると高得点が取りにくいです。もちろん、理論も勉強しないと試験に合格することはできないので、理論の勉強は必要です。

しかし、効率良く合格するためには、理論はあまり深追いしない方が賢明です。理論では6割取れたら十分です。

テキストに載っている基本項目をおさえておけば、6割は取れます。6割取れていなくても合格している人はたくさんいます。

財務諸表論に効率良く合格するためには、計算重視です。

試験形式に慣れる

財務諸表論は、税理士試験の中で出題パターンが最も固定化しています。試験形式に慣れれば、問題を早く解けるようになります。

試験本番までには必ず過去問を解くようにしましょう。過去問をやり込めば、点数は飛躍的に伸びます。

財務諸表論の計算問題は、過去問を中心に対策するのが圧倒的に効率的です。

計算問題は、前TBから決算整理をして貸借対照表と損益計算書を作成するシンプルな問題が出題されます。

簿記論のような奇抜な問題は出題されません。捨て問のようなトラップもありません。

基本的には全て解答するつもりで解いていって大丈夫です。

過去問を解いて、どのように下書きするのが効率的なのか研究しておくことが大切です。

簿記論との同時学習で相乗効果

財務諸表論の勉強を単独でやるよりは、簿記論と同時学習することをおすすめします。

簿記論と財務諸表論を同時に受験する人は多いですが、非常に理にかなった戦略です。

簿記論と財務諸表論の同時学習をおすすめするのは、次の理由からです。

  • 勉強時間の短縮が可能
  • 幅広い問題に対応できる応用力がアップ
  • 計算と理論を結び付けやすい

勉強時間の短縮が可能

財務諸表論の計算問題と簿記論の計算問題は、本質的には同じです。

出題形式が違うので、過去問を解いて形式に慣れることは必要ですが、問題を解く上で必要となる簿記の知識は同じです。

簿記論の問題が解けるようになれば、財務諸表論の問題にはだいたい対応できます。

あとは、財務諸表論だけに出てくる論点を付け加えれば大丈夫です。

財務諸表論特有の論点になるのは、表示や注記の方法です。

どちらかと言うと、簿記の計算というよりはプラスアルファの知識です。

 

簿記論と同時学習をしている場合、財務諸表論の計算対策は、答練の復習だけでいいくらいです。

答練の復習さえしっかりやっていれば、財務諸表論の出題形式へ慣れることができます。

特に直前期は、簿記論の対策で計算問題をやり込むことになるので、財務諸表論の問題集を使って計算問題をやらなくても大丈夫です。

簿記論の勉強をしていれば、財務諸表論の成績は自然に上がっていきます。

同時学習すれば、財務諸表論の計算対策を省略できる分、勉強時間の短縮が可能になります。

幅広い問題に対応できる応用力がアップ

簿記論と財務諸表論を同時学習している人の方が、それぞれの科目を単体で勉強している人よりも、応用力が身に付きます。

簿記論と財務諸表論の試験範囲は、実際問題かなり曖昧です。

簿記論も財務諸表論も、大きな括りでは、同じ財務会計です。

簿記論特有の論点、財務諸表論特有の論点と言われても、正直なところ良くわかりません。

明確な試験範囲の違いなんて、あってないようなものです。

 

とは言え、資格学校のカリキュラムでは、簿記論と財務諸表論では勉強する範囲に違いがあります。

それぞれの科目でしか勉強しない範囲も当然あります。

簿記論と財務諸表論を同時学習していない人は、同時学習している人に比べて、勉強範囲のカバー率は下がります。

同時学習している人の方が、幅広い問題に対応できる応用力がアップします。

 

簿記論の問題で、財務諸表論の知識があると有利になる問題が出題されることがあります。

逆に、財務諸表論の問題で、簿記論の知識があると有利になる問題が出題されることもあります。

こういった問題が出題された場合は、同時学習している人の方が明らかに有利です。

計算と理論を結び付けやすい

勉強の理解を深めるコツは、計算と理論を結び付けていくことです。

簿記論の計算と財務諸表論の理論を結び付けておさえていくと、会計の仕組みが良くわかるようになります。

簿記の計算問題は、会計のルールに基づいて出題されます。

財務諸表論の理論を勉強すると、どうしてこういう計算をしているのかという理由がわかってきます。

計算のロジックがわかってくると、記憶に定着しやすいです。

もし計算方法を忘れてしまっても、会計理論から計算方法を導くことができるようになります。

理論問題を答えるときも、計算方法から解答にアプローチするというテクニックが使えるようになります。

仕訳や理論を丸暗記する勉強よりも、計算と理論を結び付けていく勉強の方が、長い目で見たら絶対有利です。

財務諸表論の理論の勉強方法

財務諸表論の理論を勉強するときは、以下の点に気をつけましょう。

  • 丸暗記は必要ない
  • 全体像を把握する
  • 計算とのつながりを意識する

丸暗記は必要ない

税理士試験の中で一番きついと言われる勉強に「税法の理論暗記」があります。

税法の理論を勉強するときは、根拠となっている条文を覚えていかないといけません。

しかも、ある程度丸暗記しないといけないため、非常に苦痛を伴います。

関連記事>>>【税理士試験】税法の理論暗記の方法・回し方のコツ

 

財務諸表論の理論は、同じ理論という名前がついていても、税法の理論暗記とは全く性質が異なります。

財務諸表論の理論の方が、圧倒的に覚えやすいです。財務諸表論の理論では、税法特有のわかりにくい言い回しは出てこないため、テキストを読んでいてもスムーズに頭に入ってきます。

最初から日本語として勉強することができます。(私は、税法の理論はアラビア語だと思っています。)

また、財務諸表論の理論は税法の理論暗記とは違い、丸暗記する必要はありません

最低限の用語と意味は覚えないといけませんが、基本的には会計の考え方をおさえる勉強方法になります。

一言一句丸暗記しようとしても無駄です。

 

近年の財務諸表論の試験傾向としては、長文で自分の考えを記述するような問題は出題されません。

文章の穴埋めや数行程度の記述を要求する問題が多くなっています。

そのため、内容を簡潔にまとめる力が必要になります。

テキストの表現を一言一句書けるようにするトレーニングは不要です。結論とキーワードをおさえていくことが大切です。

全体像を把握する

財務諸表論の理論を勉強するコツは、まずはテキストを1周させることです。

会計の理論は相互に関連しているので、一通りざっと勉強して全体像をつかんでから個々の論点を掘り下げて勉強していった方が理解しやすいです。

 

最初から一つの論点を完璧にしようと思ってもなかなか難しいです。

会計の理論は奥が深いので、ある程度の理解で割り切って先に進んでいかないと勉強が終わりません。

さらに言ってしまえば、完璧に理解していなくても試験には合格できます。

 

理論は何回も繰り返し勉強することで、自然と理解が深まっていきます。

なかなか覚えられないからといって、焦る必要はありません。

不思議なもので、テキスト2週目になってくると、今までよくわからなかった論点が急にわかるようになったりします。

 

理論の勉強は、計算と違って隙間時間に勉強しやすいです。

電車の中でも確認することができます。

空き時間でパラパラっと理論を確認する習慣をつけると、記憶に定着しやすいです。

計算とのつながりを意識する

一通りテキストの内容を確認して個々の論点を掘り下げていくときは、計算とリンクさせて勉強していくと理解が深まりやすいです。

理論を勉強してから計算問題を見てみると、何気なくやっていた計算にもちゃんと意味があって計算していたことがわかってきます。

計算と理論を紐づけて勉強していくようにすると、忘れにくくなります。

理論を丸暗記する勉強法だと、記憶が飛んだら思い出すことができません。

しかし、計算方法から理論をイメージできるようになると、万が一理論の記憶が飛んだ時でもなんとか思い出すことができます。

さきほど、簿記論と財務諸表論の同時学習をおすすめしましたが、計算と理論をリンクさせておさえていくと、学習効果は非常に高いです。

 

財務諸表論の理論は、勉強する内容が面白いです。

私は税理士試験の中で、財務諸表論の理論が一番好きでした。私が受験していた当時、周りの受験生で財務諸表論が嫌いという人は、ほとんどいませんでした。

財務諸表論は、税理士試験の中ではとっつきやすい科目だと言えます。

財務諸表論の理論で苦戦するようだと、税法の理論を勉強するときは地獄を見ることになるかもしれません。

まとめ

財務諸表論で特に重要なのは、次の点です。

財務諸表論のコツ

  • 財務諸表論は計算重視
  • 簿記論との同時学習が効率的

財務諸表論は勉強方法さえ間違えなければ、必ず合格できます。

努力が報われやすい科目です。自分を信じて頑張ってください!