法人口座開設の審査は年々厳しくなっています。
なかなか法人口座を作れず、途方に暮れている経営者の方もいらっしゃることと思います。
特に本店所在地が「バーチャルオフィス」の場合はなかなか開設できません。
でも決して諦めないでください。もがき続ければ道は開けるものです。
今回は「バーチャルオフィス+資本金50万円」という厳しい条件の中、メガバンクの法人口座開設に挑んだ一人社長のお話です。
これから法人口座開設を目指す方の参考になれば幸いです。
目次
法人口座の開設に大苦戦
会社設立後、社長の最初の仕事は銀行口座の開設です。
銀行口座がないとビジネスに支障がでます。何はともあれ銀行口座です。
一般市民の感覚だと、どこでも好きな銀行で簡単に口座を作れそうな気がしますが、法人になるとそういう訳にはいきません。
法人口座を作るのは大変です。想像の100倍くらい難易度が高いと思っていただいた方が良いでしょう。
私の場合、6つの銀行に法人口座を申し込みましたが、実際に開設できたのは1つだけです。
法人口座の開設が年々厳しくなっているのは知っていましたが、まさかここまで厳しいとは思ってもいませんでした。
法人口座と個人口座は全くの別物です。審査をクリアするための難易度に天と地ほどの差があります。
法人口座の審査が厳しいのは、反社会的勢力や振り込め詐欺に利用されるのを防ぐためというのが主な理由です。
ここ数ヶ月ほど、法人口座を開設しようと右往左往していたのですが、開設できる見通しが立たずかなりメンタルを削られていました。
どれくらいダメージがあったのかというと、約2ヶ月ブログを書く気力がなくなるくらいダメージがありました。
ブロガーとしては非常事態ですね。
法人口座を開設するには、いろいろ書類を用意したり銀行に訪問したりしないといけません。なんだかんだ手間も時間もかかります。
手間ひまかけて書類を用意したのに、あっけなく書類審査で落とされたりすると、そりゃ発狂したくもなります。
審査落ちするとこういうハートフルなメッセージをいただくことができます。
就活をしていてお祈りメールが送られてくるような感じですね。トラウマになります。
銀行口座がないと不便極まりないのですが、銀行口座があったとしても別に売上が増えるわけでも業績が良くなるわけでもありません。口座を開設してようやくスタートラインに立てるといったところです。
本来は口座開設なんかに労力をかけている場合ではないのです。
しかし、口座がないとどうにもなりません。口座振替もできませんし、法人カードの契約もできません。取引先からの入金口座にも個人口座を使うしかありません。
なんとしてでも法人口座は作らないといけないのです。
法人口座を開設できなくて頭を抱える気持ちをわかっていただけますか?
苦戦の要因はバーチャルオフィス
なぜ法人口座の開設に苦戦したのかというと、以下のような状況だったからです。
- 本店所在地がバーチャルオフィス
- 資本金が50万円
- 設立してから6ヶ月以内
このあたりが法人口座の開設に苦戦した要因だと思われます。お世辞にも良い条件とは言えません。
特に本店所在地がバーチャルオフィスなのは想像以上に受けが悪かったです。
バーチャルオフィスという理由だけで法人口座開設を断られた銀行もありました。
バーチャルオフィスだと問答無用で開設不可になるそうです。世知辛いです。
一昔前と比べるとバーチャルオフィスの認知度はかなり上がりましたが、法人口座開設においては極めて心証が悪いというのが実情のようです。
資本金が50万円というのも少なすぎたかもしれません。
300万円くらいあれば状況が変わっていた可能性もあります。
設立直後は会社の実績なんてないので、どうしても表面的な情報だけで審査されてしまいます。
本店所在地や資本金等の客観的なデータでマイナスイメージを持たれてしまうとなかなか挽回できません。
これから会社を設立する方は、法人口座の開設まで視野に入れて本店所在地や資本金を考えた方が良いと思います。
一度登記してしまうと、あとから登記内容を変更するのは大変です。お金も時間もかかってしまいます。
なぜ「バーチャルオフィス+資本金50万円」で口座開設できたのか
比較的審査がゆるいとされるネットバンクでも、ことごとく書類審査で落とされました。
口座開設は無理なのかと半分心が折れかかっていたのですが、ダメ元で申し込んだメガバンクではあっさり口座開設できました。
メガバンクの方が審査が厳しいイメージがあったので意外な結果でした。
どの銀行もほとんど門前払い状態だったのに、なぜメガバンクで法人口座の開設ができたのでしょうか?
考えられる要因は一つしか思い当たりません。
長年の取引実績があったからに違いありません。
私は三菱UFJ銀行で口座開設できたのですが、三菱UFJ銀行の口座は個人事業用のメイン口座に使っていました。(現在の私は、個人事業主+会社役員という立場です。)
独立前の会社員時代には給与振込口座にもしていました。
なんだかんだ10年くらいメインバンクとして使っていたことになります。
法人口座の審査時に、おそらく個人口座の内容をチェックされたと思いますが、長年の取引実績がプラスに働いたのではないかと思います。
入出金明細があれば、どのような取引があってどれくらい資金があるのかは全部筒抜けです。
個人事業用の口座に売上の入金が定期的にあったことで、法人としては実績がなくても一定の評価をしてもらえたのでしょう。
どんな事業をしているのかなんて口ではなんとでも言えるので、証拠がないと信用してもらえません。実績があったのは非常に大きかったです。
過去の取引実績がなくて申し込んでいたとしたら、書類審査で落とされていたかもしれません。
三菱UFJ銀行で法人口座を開設するときは、必ず銀行の窓口に行き面談を受けなければいけませんでした。
銀行まで行かないといけないので手間はかかりますが、私の場合は書類審査だけよりも面談があったほうが有利に働いたと思います。
書類だけで機械的に審査されてしまうよりは、人となりまで見てもらえたほうが助かりました。
ちなみに三菱UFJ銀行ではバーチャルオフィスというだけで口座開設が不可になるということはないそうです。
追記:ゆうちょ銀行でも法人口座を開設
後日、ゆうちょ銀行でも法人口座を開設できました。
ゆうちょ銀行は通常貯金の限度額が1,300万円という制約があるため、設立直後の会社であっても比較的口座を開設しやすいのではないかと感じました。
ゆうちょ銀行は窓口に行って書類を提出する必要がありますが、面談等はなく書類審査のみです。
少なくともバーチャルオフィスという理由だけで開設不可になることはなさそうです。
関連記事>>>ゆうちょ銀行で法人口座を開設するメリットとデメリット
ネットの情報を鵜呑みにしない
インターネットで法人口座開設について検索すると、審査のゆるい銀行はどこだとか、こういう書類を用意した方が良いだとかたくさん情報が出てきます。
参考にはなると思いますが、鵜呑みにしすぎるのは危険です。
自分の置かれている状況に当てはまるのかどうかは、実際に申し込んでみるまでわかりません。審査基準が変わっている可能性もあります。
私の場合、一般的に審査がゆるいとされているネットバンクは書類審査であっけなく落とされましたが、メガバンクではすぐに開設することができました。
悩んでいても始まらないので、まずはいろんな銀行にあたってみましょう。
銀行なんていくらでもあるので、余程のことがない限りどこかでは開設できると思います。
なるべく早く口座開設したいのであれば、複数の銀行に申し込んだ方が良いです。なんだかんだ審査に時間がかかるので、スムーズに行ったとしても口座開設まで数週間はかかってしまいます。
審査が厳しすぎるのは考えもの
なんとか口座開設することができましたが、口座開設まで本当に大変でした。
いくらなんでも審査が厳しすぎるのではないかと思います。
ただでさえ日本では起業する人が少ないのに、法人口座の審査が厳しくなるとますます新規事業のハードルが上がってしまう気がしてなりません。
マネーロンダリングだかなんだか知りませんが、過去に問題を起こした企業は大いに反省していただきたいです。
あなた方が犯罪に手を染めたことによって、これからビジネスを始める人たちにまで迷惑をかけています。
銀行だって審査を厳しくすると負担が増えます。良いことなんて何もありませんよ。
なぜ本店所在地をバーチャルオフィスにしたのかというと、少しでもスタートアップにかかるコストを抑えるためです。
オフィスを構えると固定費が増えますからね。
同じ考えで本店所在地をバーチャルオフィスにしている経営者は多数いらっしゃることでしょう。
もしもバーチャルオフィスで口座開設ができないということになると、法人口座を開設するためだけにオフィスを借りないといけなくなります。
都心だと賃料は馬鹿になりません。起業のハードルが上がってしまいます。
私はこのまま法人口座が開設できないのであれば、本店移転するしかないというところまで追い込まれました。本店移転すると最低でも3万円の登録免許税が発生します。
少しでもコストを抑えるためにバーチャルオフィスにしたのに、これでは何をやっているのかわかりませんね。
口座開設できて本当に助かりました。
これから法人口座の開設を目指す方へ
法人口座の審査は厳しいです。スムーズに法人口座を開設するためには、会社設立の段階から法人口座の審査を意識しておくべきです。
特に重要となるのは以下の項目です。
- 本店所在地
- 資本金
- 過去の取引実績
口座開設のことだけを考えるとバーチャルオフィスはおすすめできません。コスト面は魅力的なんですけどね。
バーチャルオフィスは登記上の住所というだけであって、実際はその場で事業を行っていないというのがネックになるようです。
シェアオフィスはOKでもバーチャルオフィスはダメという銀行もあります。
今の法律だと1円から会社を作ることができますが、現実的にはある程度資本金が必要になります。
どれくらいあれば良いのかは難しい問題ですが、50万円程度では評価されないというのは言えると思います。
将来的に開設したい銀行があれば、あらかじめ個人で口座を開設して取引しておくと多少有利になるのではないかと思います。
個人事業から法人成りする場合も同様です。個人事業での実績があれば法人口座を作る際に有利になります。