会社が赤字のときって法人税や消費税は払わないといけないの?

会社が赤字のときって法人税や消費税は払わないといけないの?

法人は決算が終わると確定申告を行い、法人税や消費税などの税金を納める必要があります。

黒字だった場合は、税金を払わないといけないのは何となくイメージできると思います。

では、赤字だった場合はどうなるのでしょうか?

法人が赤字決算だった場合の税金の取扱いについて確認していきます。

法人にかかる税金

法人が納める代表的な税金は法人税になります。

法人税と一括りにされますが、実際には法人税、地方法人税、法人住民税、法人事業税、地方法人特別税と細かく分かれています。これらをまとめて「法人税等」と呼んでいます。

これらの税金は、法人の所得などを基準に税率をかけて計算されます。

所得とは税金を計算する際に出てくる用語です。会計でいう利益に相当するもので、法人税法上での儲けになります。

基本的には、儲けた金額に比例して納める税金が増えていきます。

赤字でも均等割がかかる

赤字である場合、つまり所得がゼロもしくはマイナスのときは、所得を基準に計算される税目は課税されません。所得に関係する税金は、所得がプラスでないと発生しません。

しかし、税金の中には所得がマイナスであっても納めないといけないものがあります。

法人住民税の均等割です。

均等割は事業を行っていれば必ず発生するもので、赤字であっても納めなくてはいけません。事業を行うための場所代のようなイメージです。

均等割は資本金や従業員数によって、税額が変わってきます。

最低でも年間70,000円発生します(資本金が1,000万円以下で従業員数が50人以下の場合)。

欠損金の繰戻しによる還付を受けることができる

前期が黒字で税金を納めており、当期が赤字である場合は、一定の要件を満たすと「欠損金の繰戻しによる還付」を受けることができます。

欠損金の繰戻しによる還付とは、当期赤字になってしまった場合に、前期に納付した法人税の還付を請求することができる制度です。

ただし、この制度は全ての法人が利用できるわけではありません。青色申告書を提出している資本金が1億円以下の法人など要件が定められています。

欠損金の繰戻しによる還付は、法人税法の規定であるため還付を受けることができるのは法人税のみになります。法人住民税や法人事業税などの還付は受けることができないので注意が必要です。

なお、欠損金の繰戻しによる還付を受けると税務調査が入る可能性が高くなると言われています。

欠損金の繰越ができる

赤字を翌期以降に繰り越すこともできます。「欠損金の繰越控除制度」と言います。

平成30年4月1日以後に開始する事業年度においては、欠損金を最長10年間繰り越すことができます。

欠損金の繰越控除制度を使うと、翌期以降の所得を減らすことができるため、税金を減らすことができます。

欠損金の繰越控除ができるのは、欠損金が生じた事業年度において青色申告書である確定申告書を提出し、かつ、その後の各事業年度について連続して確定申告書を提出している法人になります。

消費税は赤字でも関係ない

会社が赤字であっても消費税の取扱いは変わりません。

消費税の納税義務がある場合は、赤字であっても消費税を納めなくてはいけません。

消費税は、税金を負担する人(商品を買ったり、サービスを受けたりする人。いわゆる消費者)と納税する人(商品を売ったり、サービスを提供したりする人。いわゆる事業者)が別である間接税になります。

消費税は、消費者から預かった消費税を事業者が納付するという仕組みになっています。消費税の計算に所得は関係してきません。

赤字であっても消費税は納めなくてはいけないので、資金繰りの際には十分注意が必要です。

まとめ

赤字の場合であっても、均等割や消費税は納めなくてはいけません。

赤字が発生した場合は、法人税の還付を受けることができたり、赤字分を将来に渡って繰り越すことができたりします。ただし、青色申告を行うことが要件になります。

青色申告のメリットは大きいので、毎期青色申告を行っていくことが大切になります。

結論:赤字でも均等割と消費税は払わないといけない