数学が苦手でも簿記の試験に合格できますが、国語が苦手だと苦労するかもしれません。
日商簿記検定でも税理士試験でも、数学よりも国語力の方が重要です。
問題文が何を言っているのか正確に読み取る必要があるからです。
最終的には、読解力が合否を分けます。
簿記の計算は中学レベルの数学
簿記の試験は、基本的には計算問題が出題されます。
計算問題と聞くと身構えてしまいますが、高度な数学が必要になるわけではありません。
中学レベルの数学がわかっていれば大丈夫です。
簿記の試験に出てくる計算は、分数の四則演算や一次方程式を解く力があれば十分対応できます。
簿記の試験では電卓が使えるので、ひっ算が苦手でもなんとかなります。
もちろん、数学が得意な人の方が試験で有利になるのは間違いありませんが。
簿記の試験では、難しい計算問題を解くというよりは正確に集計するスキルが求められます。
20個の足し算を早く正確に行うといった感じです。一つ一つの計算自体は難しくありません。
トレーニングさえすれば、誰でも身に付けることができるスキルです。
計算問題でも国語力が必要
日商簿記検定1級の工業簿記・原価計算を受験したときに痛感したのですが、まさに国語力が問われる問題でした。
計算がわからないというよりも、問題文で何を聞かれているのかがわからないのです。
問題文の情報からはこう計算するしかないのだが、問題文の言い回しが曖昧でこの答えが求められているのか自信を持てませんでした。
疑心暗鬼になりながら解答したことを今でも覚えています。
長年受験生をやっていると問題文を読み取れないということがたまにありました。
税理士試験は記述式試験で、計算問題と理論問題が出題されます。
理論問題で国語力が必要になるのは言うまでもありませんが、計算問題であっても国語力が問われます。
実は、計算問題は国語力がカギになります。
難関試験になってくると問題量が非常に多くなります。
時間がない中、大量の問題文の情報を整理しなければいけません。
なかには微妙な文章の違いに応じて、処理を変えないといけない場面が出てきます。
問題文を読み間違えると、その時点でその問題は正解することができません。
しかも、簿記の計算は他の項目にも影響してくるので、1か所間違えると他の箇所も連動して間違えることになります。
問1の(1)で間違えると、大問1は全滅するということにもなりかねません。簿記の試験は結構怖いです。
簿記の試験で問題を間違えるパターンは、だいたい次の3つです。
- 全く手も足も出ない問題
- 計算ミスや集計ミス
- 問題文を読み間違える
1の「全く手も足も出ない問題」は、どうにもなりません。解いてもしょうがないので、次の問題に行きましょう。
2の「計算ミスや集計ミス」は、やりがちなミスです。非常にもったいないミスです。
計算ミスや集計ミスにはいろいろな原因が考えられますが、数学の知識がないのが間違えの原因ということはまずありません。
途中の計算を省略してケアレスミスをしたとか、下書きの書き方が悪いとかいう場合が多いです。
数学が苦手だから間違えたということはあまり考えられません。
関連記事>>>税理士試験・簿記論の解法テクニックを紹介。早く正確に解くコツを教えます
3の「問題文を読み間違える」というのが、一番怖い間違え方です。
焦ったから読み間違えたのか、それとも問題文の意味を理解できなくて間違ったのか。同じ間違えでも天と地ほどの差があります。
問題文の意味が理解できなかったのであれば、国語力に問題がある可能性が高いです。非常に深刻な問題です。
しかし残念なことに、国語力をすぐに上げるのは難しいです。大学受験でも国語が最も成績を上げにくい科目と言われています。
国語力はなかなか上がらないと言っていても話が進まないので、私は一つの対処法を提唱したいと思います。
とにかく問題に慣れることです。
国語力をカバーするには問題に慣れるしかない
先日、どんなもんかとセンター試験の「簿記・会計」の過去問を解いてみました。
センター試験レベルならほぼ満点が取れるだろうと思っていたのですが、予想していたよりも点数が取れませんでした。
問題が解けなかったのは簿記の力がないというよりは、問題に慣れていなかったからです。
簿記の問題を初見で解くのは、非常に難易度が上がります。なかなか点数を取ることはできません。
他の税理士が問題を解いてみても初見では同じ状況になることでしょう。
試験なんてそんなものです。
逆に言えば、試験問題に慣れてさえしまえば本来の力が出せるようになるということです。
幸いなことに、簿記の問題は出題パターンがある程度決まっています。
国語力に自信がなくても、問題文の言い回しに慣れてしまえば、国語力をカバーすることができます。
普段からいろいろな問題を解いて、問題文に対する経験値を上げておくことが大切です。
初見の問題は国語力で差がつく
そうはいっても、試験本番では初見の問題が必ず出題されます。
初見の問題に直面したときは、正解しないといけない問題なのか、捨て問でスルーしないといけない問題なのか、難しい判断が求められます。
この時に必要になるのが国語力です。
出題者は何を意図してこの問題を出題しているのか、どういうことを答えさせたいのかを瞬時に読み取る必要があります。
こればかりは、受験生の本当の実力が問われます。
今まで積み重ねてきた総合力でぶつかっていくしかありません。
最終的には、読解力の勝負になるでしょう。
このように、簿記の試験であっても国語力が必要になってきます。
数学が苦手でも簿記の試験に合格できますが、国語が苦手だと苦労するかもしれません。
簿記の試験は、計算問題が出題されるのに国語力が問われるちょっと変わった試験です。