【税理士試験】税法の理論暗記の方法・回し方のコツ

【税理士試験のコツ】税法の理論暗記の方法

税理士試験最大の関門は、税法の理論暗記です。

税理士試験の税法科目では、条文を暗記しないと合格することができません。

理論暗記は税理士試験の中で最も重要な勉強の一つですが、ただひたすら暗記していくことになるので、非常に苦痛を伴います。

私も受験生時代は、どうやったら効率的に理論暗記ができるのか試行錯誤しました。

私がどのように理論暗記を行っていたのか、勉強方法をご紹介したいと思います。

税法の理論暗記の方法

一言一句完璧に覚える必要はない

まずは、理論暗記にはどの程度の精度が求められるのかという話をしたいと思います。

結論としては、一言一句完璧に覚える必要はありません

むしろ完璧に覚えようとしてはいけません。超人でもない限り完璧に暗記することなんてできません。

理論暗記ができずに税理士試験に挫折してしまう人は、完璧に覚えないといけないと思い込んでいることが多いです。

そんなに思いつめなくても税理士試験には合格できるので、肩の力を抜いていきましょう。

 

理論暗記をする際は、資格学校の教材を使用することになります。

大原だと「理論サブノート」、TACだと「理論マスター」と言われるものです。

2020年 法人税法 理論サブノート (税理士受験対策シリーズ)       税理士 36 所得税法 理論マスター 2020年度 (税理士受験シリーズ)

 

私は大原生だったので、理論サブノートを使っていました。

この理論サブノートですが、受験生が勉強しやすいように、元となる条文から重要な部分を抜粋し、また、表現を分かりやすく変更して収録されています。

そのため、理論サブノートを一言一句完璧に暗記したとしても、条文そのままの表現とは違うことになります。

なので、理論サブノートの表現を完璧にする必要はありません。

 

では、どこまで覚えたら良いのでしょうか?

理論サブノートで言えば、赤字になっている部分は完璧にするつもりで暗記した方が良いです。

赤字になっているのは、重要なキーワードです。用語や金額、年数といった項目です。

消費税法でいえば「課税売上割合」とか「課税資産の譲渡等の対価の額」といったものです。

このようなキーワードは間違えてしまうと点数をもらえません。

英語の試験でも英単語のスペルを間違えるとダメですよね。重要なキーワードは完璧に書けるようにしておかないといけません。

逆に、句読点とか接続詞のように文脈に影響のない部分はどうでもいいです。

 

ポイントは、キーワードは完璧におさえるということです。

理論暗記の精度としては、理論サブノートの70%程度を暗記する位のイメージで良いでしょう。

理論ベタ書きの問題であれば暗記の精度が高い方が有利ですが、事例問題であれば要点さえおさえておけば、解答にベタ書きする必要はありません。

最近の試験傾向としては、理論ベタ書きの問題は減ってきて事例問題が増えています。

なので、ただ単に丸暗記しておけば良いというものではなくなってきています。

音読して覚える

次に、具体的にどのように暗記するのか見ていきます。

基本的には文字を書いて覚えるのは止めた方が良いです。

理論暗記の分量は膨大なのでいちいち書いて覚えていたら、そのうち腱鞘炎になります。

また、書いて覚えるのは時間がかかるため、効率が良い勉強法とは言えません。

私は音読する方法が一番効率が良いと考えています。

目で見て、口に出して、耳で聞く。五感をフル活用することで、効率よく暗記することができます。

 

最初から完璧に覚えようと思っても無理です。

何度も繰り返すことで、暗記の精度を高めていくしかありません。

あまり難しく考えずに本を読むくらいの気持ちで、10回くらい読んでみます。

そうすると何となく、この理論ではこういうことが言いたいんだなということが分かってきます。

さらに100回くらい読んでみます。

そうすると、アラビア語のようだった難解な税法の言い回しが、日本語のように見えてきます。

(私は税法の理論はアラビア語だと思っています。日本語とは認めません。)

暗唱して覚える

繰り返し読んで内容が分かってきたら、暗唱してみてちゃんと暗記できているか確認します。

一文ずつに分解して、細かく確認していきます。

暗唱してみて詰まったらもう一度文章を覚え直すという作業を繰り返します。

最終的に1ページ分を暗唱できるようになったらクリアです。

地味な作業ですが、音読と暗唱を繰り返して暗記の精度を高めていくしかないです。

最初に覚えるときは本当に時間がかかります。

私は1ページ暗記するだけでも、平気で3時間くらいかかりました。

みんなそんなもんだと思います。もの覚えが悪いと落ち込む必要はありません。

答練でアウトプット

資格学校で勉強していると、次回の授業までにこの理論を暗記してきてくださいという理論暗記の宿題が出ます。

この宿題だけはサボらずに全力で取り組みましょう。

人間の精神力は弱いため、ある程度強制力が働かないと苦痛を伴う勉強なんてできません。

資格学校の理論暗記の宿題を毎回ちゃんとこなしていると、理論暗記の下地ができます。

最終的に理論暗記の分量は膨大になるため、直前期だけで覚えようとしても無理です。地道に覚えていくしかありません。

一度理論を覚えてしまえば、仮に忘れたとしても、もう一度思い出すときには最初に覚えたときの半分以下の時間で思い出すことができます。

最初に覚えるときが一番きついのです。

 

また、答練は理論を書くことの練習になります。

税理士試験の本試験は時間が圧倒的に足りないため、ものすごいスピードで問題を解いていかないといけません。

理論問題についてもゆっくり丁寧な字で書いている暇なんてありません。

ぎりぎり読める字で高速に大量の文字を書くスキルが必要になります。

普段、理論を覚えるときは書いて覚えないため、書くための練習はもっぱら答練になります。

隙間時間を有効活用

理論暗記は、机に座ってがっつり暗記してやろうと意気込んでもそうそう集中力が続きません。

理論暗記は、長時間継続してやるものではありません。隙間時間でちょっとずつ覚えていった方が良いです。

私の場合、理論暗記は移動中の電車の中でやるのが一番捗りました。15分しか時間がないけど、15分だけ集中して覚えようというのがかえって良かったりします。

室内で勉強していてやる気がなくなってきたときは、公園や海に行って音読したりしていました。外で勉強するのは気分転換にもなるのでおすすめです。

移動時間や昼休み、寝る前など隙間時間を使って少しずつ理論暗記を進めていくと、後から楽になります。

理論暗記はどうしても時間がかかります。すぐに暗記できるような裏技はありません。

1日15分だけでもいいので、毎日続けるとだいぶ違いますよ。

理論の回し方のコツ

理論を回す目的

理論の回し方には、2つの目的があります。

  • 思い出しやすくするため
  • 忘れないため

「思い出しやすくするため」というのは、あとから覚え直すときの負担を少しでも減らすために理論を回すことです。

一度理論を覚えても、しばらくすると忘れてしまいます。

忘れてしまうのは、人間なのでどうしようもないです。

ですが、せっかく覚えた理論が完全に抜けてしまって、何も覚えていないという状態になってしまうのは、非常にもったいないです。

完全に忘れてしまうのを防ぐためには、定期的に理論に触れておくことが必要になります。

これは主に、直前期までの勉強法になります。

新しい理論を覚えるときに、前に覚えた理論についてもちょろっと復習しておくと、あとからかなり楽になります。

あとで覚え直すときの時間がだいぶ変わります。

直前期までは、完璧に理論を覚えようと力み過ぎないことが大切です。

何度も言いますが、どうせ忘れます。細かいところは、直前期に覚え直した方が効率的です。

理論を覚える最初の段階で意識したいのは、この規定がどういった趣旨で何を規定しているのか覚えることです。

文字を覚えるのではなく、意味を覚えることです。意味を覚えた方が記憶に残りやすいです。

 

「忘れないため」というのは、一度覚えた理論を完璧な状態で維持するために理論を回すことです。

直前期の勉強法になります。

理論を忘れないためには、とにかく理論を回してメンテナンスすることが不可欠です。

最終的には、試験本番で理論を覚えているかどうかで合否が決まります。

直前期は1日で1周回す

最初は1つの理論を覚えるのに何時間もかかりますが、一度覚えてしまえば驚くほど高速に暗唱できるようになります。

ただし、悲しいことに一度覚えてもずっと忘れずにいるのは普通の人では不可能です。

私自身、試験本番のときは完璧に暗記している自信がありましたが、1か月もすればろくに暗唱できないようになっていました。

試験直前に覚えた理論を、本試験まで忘れずにいられたのは、直前期は1日で1周回すようにしていたからです。

1日で1周回していれば、理論のメンテナンスとしては完璧です。

試験本番にピークを持っていく

試験本番に、いかにして理論暗記のピークを持っていくかは、非常に重要なことです。

理論は覚えているかどうかが全てです。その場で考えてどうこうなるものではありません。

短期記憶でも何でも良いので、試験のときだけは覚えておかないといけません。

試験直前は、どうやったら試験にピークを持っていけるか考えて、調整を行うことが必要になります。

理論は、ちょっとでも油断すると、すぐに記憶から抜けていってしまいます。

1日や2日やらなくても影響はないのかもしれませんが、私は毎日理論を回してメンテナンスをしていました。

理論を回すことは、精神安定剤の役割にもなっていました。

試験本番に自信を持って臨めるかは、合否に大きく影響してくると考えています。

試験前日に理論を完璧に暗唱できたら、試験には必ず合格できると信じていました。

理論暗記を乗り越えればゴールは近い

理論暗記は非常に苦痛な勉強ですが、税理士になるためには避けて通れません。

いろいろ勉強方法を工夫して、なんとか理論暗記を乗り越えてほしいです。

理論暗記で一つ言えるのは、即効性のある勉強法はないということです。

人それぞれ覚えやすい勉強法があると思いますが、超人でもない限り、理論暗記には膨大な時間がかかります。

本当に税理士になりたいという気持ちがあるのか、理論暗記で試されています。

理論暗記に苦戦している人は、音読と暗唱を試していただければと思います。

理論暗記を乗り越えればゴールは近いです。

理論暗記ができたら必ず税理士になれます。

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