税理士登録するためには2年以上の実務経験が必要になります。
会計事務所以外で働いている人の中には、実務経験の要件について不安を感じている人もいることでしょう。
今回は、私が税理士登録をしたときはどんな感じだったのか書いていきたいと思います。
税理士登録には2年以上の実務経験が必要
税理士試験に合格するだけでは税理士になれません。
税理士登録するためには2年以上の実務経験が必要になります。
この実務経験の内容については、租税に関する事務又は会計に関する事務で、政令で定めるものと規定されています。
分かったような分からないような曖昧な表現ですね。
一つ言えるのは、会計事務所での勤務経験というように明確に仕事内容が限定されている訳ではないということです。
幅広に解釈する余地が残されています。
では実際のところ、どこまで実務経験として認められているのでしょうか。
会計事務所以外でも、一般企業の経理なんかであれば余程のことがない限り認められています。親の会社で働いているとかになってくると微妙ですが。
判断に迷うのは、税金や会計に関する仕事と言えるのかはっきりしない場合です。
典型的なのは、金融機関での仕事です。
金融機関の仕事は、いろんな数字が絡んでくるので、広義には税金や会計に関する仕事と言えなくはないです。
間接的に税金や会計と関わっているという表現が適切かもしれません。
実務経験に関しては、人それぞれ状況が異なるので、画一的に判断するのは難しい面があります。
参考になると思うので、私の場合どうだったのか書いていきたいと思います。
銀行勤務は実務経験に使える?
私は一度銀行で働いてから税理士になりました。
詳細な経歴は割愛しますが、詳しく知りたい人はプロフィールを見てみてください。
銀行で働きながら税理士を目指している人もいらっしゃると思います。
銀行だと実務経験の要件を満たすのか気になりますよね。
銀行の仕事内容だと、入るか入らないか微妙な感じです。
結論は、銀行での仕事も実務経験にカウントできる場合があります。
私が税理士登録するときに、銀行での勤務経験を使って登録できたからです。
銀行といってもいろんな業務があります。
私は営業店の融資担当だったので、これからは融資業務という前提で書いていきます。
他の部門だとどういう扱いになるのかは正直わかりません。
同じ部門であったとしても、銀行ごとに業務内容は変わってくるでしょうしね。
私が税理士登録したときは、会計事務所と銀行の両方を合わせて実務経験の2年をクリアしました。
複数の実務経験を組み合わすこともできます。
正確には会計事務所で1年4か月、銀行で10か月の合計2年2か月で申請しました。
税理士登録しようとしていた時点では、会計事務所での実務経験は2年ありませんでした。
私は一刻も早く税理士登録したかったので、銀行の経験を足し合わせて2年以上にすることにしました。
銀行での勤務期間の全てを含めるのは難しいですが、ある程度であれば大丈夫だと思います。
私は銀行で3年2か月働いていました。
そのうち10か月分は実務経験の期間に含めることができました。
10か月というのは、次のように計算しました。
1年目はジョブローテーション期間で、実質見習いみたいなものだったので実務経験期間からは除外しました。
2年目からは融資担当者として本格的に実務を行っているので、退職するまでの26か月間は実務経験を満たす期間としました。
しかし、銀行業務の全てが、税金や会計に関する仕事とは言えないと考えたため、掛け目を入れています。
40%分は税金や会計に関する仕事としました。
26か月 × 40% ≒ 10か月
私の場合、会計事務所での実務経験もあったので、銀行での勤務期間の内8か月以上認められれば、合計で2年以上の要件をクリアできる状態でした。
なので実際のところは、8か月以上になるように割合を逆算して出しています。
もっと高い割合でも大丈夫だったと思いますが、割合を高くする必要性がありませんでした。
かなり保守的に計算したつもりです。
この辺は自分の置かれている状況に応じて、うまく作文することも必要になるかもしれませんね。
経歴を偽って登録すると後々大変なことになるので、嘘を付くのはダメですよ。
印鑑証明書をもらうのが厄介
税理士登録のための実務経験ですが、申請にあたって厄介なことがあります。
実務経験を証明するためには、勤務先の代表者の印鑑と印鑑証明書が必要になります。
勤務先のボスにはんこをもらい、印鑑証明書をセットにして税理士会に提出しないといけないのです。
これが税理士登録をする際の最大のハードルと言ってもいいでしょう。
はっきりいって超面倒です。
私は、働いていた会計事務所と銀行から印鑑証明書をもらう必要があったのですが、書類をもらうまでに2か月くらいかかりました。
書類を出す方からしてみれば、元従業員に印鑑証明書を出しても何のメリットもありません。手間がかかるだけです。
そのため印鑑証明書を依頼しても結構渋られます。
私が働いていた銀行では、実務経験の証明に関する依頼は私が初めてのケースとのことでした。
そのため、税理士登録の手続きについて一から説明する必要がありました。
銀行のように大きい組織だと、社長の鶴の一声という訳にはいかないので、いろいろ手続きが必要になります。
何回もメールや電話でやり取りして、書類のドラフトを作り、訂正が入り…。
あまりにも面倒だったので、途中で心が折れそうになりました。
時間はかかりましたが、最終的にはちゃんと書類をもらうことができたので良かったです。
私は銀行を退職してから結構時間が経っていたので、対応してもらえないことも十分考えられました。
会計事務所であっても、所長が印鑑を押してくれないという事案もあるようです。
本来はダメなんですけどね。
これから税理士登録する人は、実務経験の書類をもらうのはクソ面倒ということを覚えておいてください。
仮に将来私が逆の立場になったとしたら、快く印鑑証明書を提供する心の広い人間でありたいと思います。
判断に迷う場合は事前に確認しよう
実務経験は税金や会計に関することが要件になるため、社会人経験があっても税理士の実務経験にはカウントしてもらえないことがあります。
判断に迷うときは、事前に税理士会に確認しておいた方がよいかもしれません。
登録申請してから要件を満たしていませんでしたとなっては、人生設計が狂いかねませんからね。
せっかく税理士試験に合格したのですから、1日でも早く税理士登録できることに越したことはありません。